青の祓魔師 第25話(終)

ゲヘナゲート攻防戦で最終回。
アーサーとの共闘、祓魔塾の人たちの活躍、ブラボーな奥村兄弟によるケーキ入刀……と、様々なアクションシーンがありそのどれもが水準以上の出来だったが、最終回のバトルにしては少し盛り上がりにかけていた印象。やっぱりラスボスはサタンじゃないと……。なんで「門(ゲート)」なんだろう。てっきりメフィストフェレスみたいにキャラとしてサタンが出てくると思っていたので少し残念。
祓魔塾の人たちの活躍も、策を巡らしたり頑張っている感は伝わるのだが、闘っている相手が沢山の雑魚だといまひとつ燃えないというか。やっぱり「魅力的な敵キャラ」って重要だと思うんだ。アーサーの活躍も、なんで剣になって特攻!?って感じで、特に成果もなくガッカリ感満載。それに比べて、シュラはダメージ受けてエロい格好になってるはしえみも胸がはち切れそうになってるはで女性陣の活躍は凄かった。これはもう、アーサーはOバックで対抗するしかないな。あと、吉国の再登場は一体なんだったの!?アニメのオリジナルキャラだから再登場させたかったとしか思えない……。
それと、冒頭の老人との会話や「時よ止まれ!汝はあまりに美しい!!」といった、メフィストフェレスの「ファウスト」ネタは一体なんだったのだろう。名前の元ネタ以上に本編との関わりってあるのだろうか?まぁファウストは未読なのでよくわからないけれども。
サタンによる破壊の原因は、ユリとの約束を「急ぎすぎただけ」……って。結構人死んでるし街めちゃくちゃだし、「青い夜」事件といいなんて迷惑な人なんだ。まぁ、「実は根は良い人」という伏線は張られていたし、和解エンドもありうるのかもしれないけど、このオチは少し肩透かしだった。
Cパートでの日常回帰エピローグは、学園での生活、親関係の後日談、祓魔師としての任務……と「いつもの青の祓魔師」要素が満載だった。これだけの内容をこの尺で収めるのはなかなか凄いのでは。つーか、なんで最後の敵がセルティ……じゃなくて、ゴーストライダー!?


全体としては、「想像以上の少年漫画アニメ。厨二心をくすぐる演出や、バトルシーンの出来は俊逸」という印象。
考えてみれば「ジャンプスクエア」に連載しているのだから、少年漫画っぽいというかジャンプっぽいのは当然といえばそうなのだが、なんとなくそんなイメージを事前に持っていなかったので余計にその印象が強かった。腐女子人気が高い、というのも「少年漫画っぽい」というのに当てはまるし、バトルも多いし、友情・努力・勝利の要素もあるし、かなりストレートな「少年漫画アニメ」なんだよなぁ。
終盤が駆け足になってしまったのは色々と勿体無かったけど、日5という枠で「続きは漫画で!」という風に締めずに独自に終わらせにいったのは戦略として理解できる。せめてあと1話くらい余裕があるともっと良かったのかなと思うが、まぁそれは仕方ない。
「サタンの息子が主人公」という設定だからか、少年漫画にしては「親」というのを強く押し出していたのも印象深かった。ユリと獅郎という本当の「親子としての関係」といい、最終回でのしえみに対する「お母さんみたいだな」という台詞といい、「家族」を明確に打ち出している作品なのかな、と思った。まぁ「悪魔の血統」という設定でやっている以上、当然なのかもしれないが。
不満点は、前述の通りラストのカタルシスが弱かったこと。ゲヘナゲート以前の「ヒャッハー状態のサタン」のキャラが良かっただけに、物量戦というか「膨大な数の雑魚との戦い」がメインになってしまったのは残念。
作画は、2クール中テンションが落ちずに高いクオリティを維持していた。アクションシーンが多い作品だが、迫力のあるバトルが楽しめた。それと、炎のエフェクトといい雑魚敵といい、CGの使い方も巧かった印象。流石、アクションに定評のある岡村天斎監督。
声優陣では、燐役の岡本信彦の熱演が光っていた。叫びが多い役だが、真っ向から立ち向かっていた。他にも、雪男役の鬼畜メガネだけど実はヘタレな福山潤の演技、メフィストフェレス役の神谷浩史のつかみ所がない面白い演技など魅力的な声優が沢山揃っていたが、個人的には獅郎役の藤原啓治の演技が特に印象深かった。死んでからも普通によく出るし、格好良い親父も出来て凶悪な悪役も出来るしで、1つの作品で色んな藤原啓治を楽しめる作品になったいた気がする。
そして、まさかの劇場版制作決定。ここまでサタンとの決着をやってしまった以上、どんな物語にするのかさっぱりわからないが、良い作品になることを期待したい。
スタッフの皆様、お疲れ様でした。