うさぎドロップ 第11話(終)

コウキママンの看病は、あくまでも距離を保った感じで終わった。その後、縄跳び大会の練習で公園に行き、コウキママンとパパ友で親トーク
大吉とコウキママンは、流石に簡単に再婚!という訳にはいかないが、この微妙な距離感な関係がある意味良いのかもしれない。
縄跳びのシーンでは、この作品らしい作画力の高さが炸裂。わざわざロングで縄跳び描写を見せるところが凄い。子どもらしい下手な飛び方や、大吉のボクサー飛び等、飛び方に個性を持たせて表現しているところも素晴らしい。
その後、実家へ行き祖父の墓参り。妹の結婚・子育てへの不安を聞いて、「子育ては犠牲ではない」というこの作品のメッセージが出てきていた。「仕事の時間も子どもとの時間も、大事な自分の時間」や、「親だからといって特別なことは何もない。普通の人間だ」といったメッセージは、親に対してもまだ親ではない人に対しても良いメッセージとなっていると感じた。
背が伸びたことや、歯が抜けたことをみせてりんの成長を感じさせる構成にし、Bパートラストら辺での総集編的なパートによって、1クールという短い中でも「りんの成長の記録」或いは「思い出」のようなものを演出させていた。話数ごとに変化があったイヌカレーEDのまとめ的な大放出も「締め」として良い演出だった。
全体として、「祖父の隠し子が発覚し、しかも母親は失踪。その中で、30歳の独身男が幼女を育てる」という驚愕の設定から、ハートフルな子育て物語となっていたのが興味深かった。
現代社会制度における「子育ての難しさ」や、「子育てによって自分の時間を奪われてしまう。これは犠牲ではないか?子どもを産まない方が得ではないか?」といったような心理的問題提起を、特殊な家庭環境ではあるが逃げずに受け止めてこの作品なりの回答を出していたのではないかと。
尤も、やはり物語であるから若干「理想的」すぎるきらいはあるが。特にりんは良い子すぎる!
作風故に「日常動作」が多い作画演出であったが、豪華すぎるスタッフに恵まれて日常芝居の水準はかなり高かった。この水準の芝居をTVシリーズのアニメで観られるなんて凄すぎる……。
今後のりんとの生活、特に思春期を迎えたらどうなるのか?とか、りんとの母親との問題、コウキママンとの関係は?と気になる点は多数あるが、最終回でも「日常」を崩さずに粛々と高水準な作画と共に物語を描いていったのは好感が持てた。
声優陣では、なんといってもリアル幼女の松浦愛弓の演技の素晴らしさが際立っていた。
映画版は芦田愛菜、アニメ版は松浦愛弓といった、類まれなる才能を持った子役が存在していたことが、この作品の成功の要因として相当大きいだろうなぁ。
スタッフの皆様、お疲れ様でした。