NO.6 第11話(終)

沙布救出ならず、寄生蜂でNO.6崩壊。ネズミが負傷し、紫苑は死んでしまうが、エリウリアスの謎の力で復活!感動のお別れのキスの後、ネズミと紫苑は別々の道を歩き始める……。
もう世界観の謎とか今までの伏線とか、この1話で回収しきれるはずもなく怒涛の如くイベントが発生して、何がなんやらだったが不思議な高揚感はあった。
結局沙布は助からずNO.6も寄生蜂により壊滅状態になって、今までの頑張りはなんだったのかと思いたくなるが、一番「なんだったのか」感が強いのは楊眠の蜂起計画だな。NO.6の悪事を暴こうとしたらもうほとんど住民は死んでいて、本人も寄生蜂に殺されるなんて哀れすぎる。
結局、寄生蜂による死亡事件は「エリウリアスを起動させる実験」の失敗例で、沙布は成功した例だった、と。それでも何故沙布がエリウリアスを起動できたのか?といった疑問が残るが、もうSF的設定はなんとなく理解しておけば良いのかな……。
その後、沙布を救えなかった悲しみで紫苑はネズミと喧嘩をするが、そのネズミは紫苑を庇って負傷してしまう。そして「紫苑がネズミを治療する」という第1話を反復させる構造となっていた。
紫苑の死とネズミソング、エリウリアスによる復活と寄生蜂の消滅は、ご都合主義的な展開ではあったがクライマックス故の盛り上がりはあった。
ラストのキスは、以前は紫苑からだったのがネズミからになっており、この作品の対立構造は徹底していると思った。
しかし、あの赤ん坊を見た紫苑ママンは、確実に「あなたの子?産んだの!?」と思うのではないだろうか。いや、「希望の象徴」として描いているのだろうけど。
全体として、ディストピアSF的な要素が入っていながらも、基本は紫苑とネズミのラブラブ生活といった感じで、いくら女性向けが多いノイタミナ枠でもここまでBLなアニメをやるのか、と驚いた。
しかしSF要素があるといっても、設定が複雑なのか話数が少ないから説明を端折っているのか判らないが、いまいち要領がつかめず消化不良な感じがした。
何よりも展開早いのが致命的。おそらく原作ではゆっくりと紫苑とネズミの関係性を描いているのだろうけれども、アニメだと展開が早いからネズミがツンツンしているかと思ったらすぐにデレたりと、もはや情緒不安定なようなキャラとなっていた。紫苑も後半では感情の変化が激しすぎてちょっとついていけなかったなぁ。
尤も、紫苑とネズミの関係性は丹念に描かれている方で、対立構造というかお互い正反対なキャラでありながらどこか似ているところがあるというか、理想的なカップルとして描かれていた印象。
ラストも、イヌカシや紫苑ママンといったサブキャラではなくメインの2人を描くことに力を注いだ演出となっているし、2人の関係性を描くことには成功していると思う。
やっぱり主人公とヒロインはきっちりと描かないとね。……問題は、主人公もヒロインも両方とも男ってことか?
世界観の謎とか、ここの描写どうなっているの?とか突っ込むのは野暮なんだろうなぁ。おそらく原作のファンもそういう要素は求めていないだろうし、2人を丹念に描くという戦略は狙い通りかつ求められている要素なのだろう。
スタッフの皆様、お疲れ様でした。