輪るピングドラム 第23話

とうとう「列車」に乗り込んだ2人。
「電車」とは「箱」のアナロジーであり、「運命」や「世界」のアナロジーでもあるようだ。ラスボスである眞悧は、いわゆる虚無系のラスボス。自らを「呪い」と言っているだけあって、世界を滅ぼそうとしている理由も、全世界に「呪い」をばら撒くかのような動機だ。陽毬や真砂子を生き返らせたのも「呪い」の為せる技、ということなのか?確かに「死者が蘇る」というのは、「奇跡」というよりも「呪い」っぽい。尤も、キリストが蘇ったのは「奇跡」ということになっているが。
危篤状態の陽毬を、冠葉が連れ去る。ここで宮沢賢治について語ると、彼が「銀河鉄道の夜」を書いたのは「妹の死」がきっかけだったと言われている。冠葉と晶馬が「列車」に乗るのも、「妹」が原因となっている。他にも、カムパネルラの死が「他人を救うため」というのも一致している部分がある。このような「自己犠牲」は賢治の作品には通底しているものだけど、「ピングドラム」ではどうなるのか。
桃果のピングドラムは焼かれてしまうが、とうとう「帽子」となった桃果が晶馬に語りかける。未だに「ピングドラム」ってなんなのかよく分からないけれども、「運命」に関係していることは間違いなさそう。しかし、運命を「変える」ためにあるピングドラムを、苹果は運命を「守る」ために使っていたというのは皮肉だ。そして、晶馬を立ち直せるきっかけを創ったのも苹果じゃなくて桃果、というのも。まぁ、まだ最終回があるから、これからの苹果無双も期待できるが。
まだ回収されていない伏線で気になっていることは、もうひとつの「ペンギン」ことマリオさんのこと。どうやら「帽子」は2つに引き裂かれた桃果であるようなので、この2つが揃うことに意味があるのではないかと思うのだが。
とうとう立ち上がった晶馬の「決着をつけよう、冠葉!」はかっこ良かったが、冠葉と決着をつけるというよりも共闘しなきゃいけないはずなのでなんとも。そしてここにきて晶馬と冠葉の「出会い」が語られる……って、これあと1話で終わるのか!?